隠世共住修道院生活の歴史は長く、その基礎は新約聖書にまで遡り、イエスの模範と教えに基づいています。 3~4世紀には、聖アン トニオ、聖パコミオ、聖バジリオなど多くの傑出した修道者が現れました。6世紀 になって、イタリアの聖ベネディクト(480-547)は隠世共住修道院生活の伝統に基づきながら、自分の修 道者のために修道規律を書きました。これが聖ベネディクトの戒律です。これは全ヨーロッパの修道生活と キリスト者の生活 の規範となりました。
シトー会は1098年、聖ロベルトと同志たちが聖ベネディクトの戒律をより忠実に守り従うために、繁栄する ベネディクト会を後に、フランスのシトーの森に退いた時に興りました。そのカリスマはクレルヴォーの 聖ベルナルド(1090-1153)の影響の下に中世を通じて全ヨーッパに広がり、シトー会 は教会の中で霊性と 文化の中心的な役割を果たすことになりました。1662年、ド・ランセ(1626-1700)はフランスのトラップ修道院の院長に就任すると、次第に緩んできた シトー会の修道精神を再び厳格に立て直そうと、改革運動を始めました。これがトラピストとして知られる 厳律シトー修道会です。
2012年現在、世界には男子修道院96、女子修道院73が存在しています。各修道院は自治独立ですが、全世 界の修道共同体は一人の男子総長のもとに、一つの修道家族を形成しています。ちなみに、本修道会のすべ ての修道院はおとめマリアに奉献されています。
隠世共住修道院生活(モナスチカ生活)はカトリック教会の中で、神への絶えざる祈りと奉仕の使命を受けています。モナクス (修道士)とはラテン語の「ただひとつのもの(モノス)」から来ています。神だけに向かって生きる者の意味です。
聖 ベネディクトは、キリスト者として徹底的に生きたいと望んで集まった人々に戒律を与えました。聖ベネディクトの戒律は福音の具体 的な生き方を教え、神とキ リストの体験へと導きます。戒律の根本精神はキリストの模範に倣う謙遜と従順であり、この戒律に従って世から離れ、共同生活・沈 黙・祈り・霊的読書・労働 などの諸価値を生きるのが厳律シトー会の生活です。つまり、より真実に、より深くキリスト者であることを求め、もう一人のキリス トが一人一人のうちに現れ るまで洗礼の恵みを開花させることです。こうして、キリストの贖いと救いを受け、神をたたえながら神の国を証しすることを目的と しています。
日本には「厳律シトー修道会」(トラピスト)に属する男子修道院が二つ、女子修 道院が五つあります。
【男子修道院】
・灯台の聖母トラピスト修道院 〒049-0283 北海道北斗市三ツ石392 (本修道院)
・ お告げの聖母トラピスト修道院 〒879-1509 大分県速見郡日出町大字南畑3350-7
・ 伊万里の聖母修道院 〒 848-0032 佐賀県伊万里市二里町大里甲1-41